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10年後には海外売上高比率40%! ~日通グループ 経営計画2023~

 

いよいよ来週から新年度。

時期的に引っ越しのトラックをみることも多いですね。

 

今日は、そんな物流を扱う日通グループの中期経営計画をみていきます。

 

 

日本通運ってどんな会社?

 

事業概要

 

日本通運株式会社は、日本における最大手の総合物流事業者です。

国内外に持つ幅広い輸送ネットワークを生かした法人向け貨物輸送・物流業務を得意としており「日通に運べないものはない」と言われるほど、様々な貨物輸送を取り扱っています。

またその他にも倉庫事業、荷役業務、引越・移転事業、旅行業などを展開しており、引越し・移転事業ではシェアと売上高で業界1位をマークしています。

 

 

業績の長期推移

 

2018年3月期の業績は、売上高2.0兆円、経常利益744億円です。

売上高は過去最高水準まで増加しています。

 

日通グループ経営計画2023 ~非連続な成長“Dynamic Growth”~

 

今後も成長を維持したい日通。

今後の戦略について、2019年2月22日に発表された「日通グループ経営計画2023 ~非連続な成長“Dynamic Growth”~」をみていきましょう。

 

 

2024年の業績目標

 

2024年3月期の業績目標は、売上高2兆4千億円、営業利益率4%です。

2019年3月期と比較すると、売上高を11.6%増加させる目標となっています。

 

日本通運株式会社「経営計画 2023」P3

 

 

 

成長のタネ

 

上図の「成長イメージ」をみると、国内事業は微増に据え置き、海外事業を急拡大させる目標であることがわかりますね。

それでは、海外事業、国内事業のそれぞれの成長戦略をみていきます。

 

 

海外事業

 

日通では、創立100周年である2037年に向けたビジョンとして「グローバル市場で存在感を持つロジスティックスカンパニー」を掲げています。

 

日本通運株式会社「経営計画 2023」P2

 

 

そのため、本中計においても、海外事業に成長ドライバーが設定されています。

具体的な戦略は、「メガフォワーダーへ非連続な成長」です。

 

※フォワーダー
フォワーダーとは、自らは輸送手段を持たず、船舶・航空機・トラック・JRなどを利用し、荷主と直接契約して貨物輸送を行う事業者。つまり、荷主と輸送手段を結ぶ、物流のコーディネーターのこと。

 

現在、日通はフォワーダーとして世界7位。今後は、M&Aを通じて、さらなる拡大を狙っていきます。

 

日本通運株式会社「経営計画 2023」P12

 

 

国内事業

 

国内事業は大幅な成長を目標としていません。

 

成長戦略は、「重点産業における産業特性や変化に対応したプラットフォーム構築」です。

重点産業としては、電気・電子産業、自動車産業、アパレル産業、医薬品産業、半導体産業の5つがあげられています。これらの産業向けに、それぞれ産業特性を考慮した物流を提供します。

 

日本通運株式会社「経営計画 2023」P8

 

 

上記のなかで、もっとも力を入れる領域。それは医薬品産業でしょう。

 

医薬品の流通においては、2018年12月に厚生労働省より、「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」が示されました。内容は、流通における、①医薬品の品質の確保・温度管理、②流通過程の適正管理、③偽造医薬品対策です。

 

そこで、日本通運においても、これをビジネスチャンスとして、医薬品サプライチェーンネットワークを構築。これにより、原料・製品の輸出入、出荷、輸送の一連のサプライチェーンをソリューションとして提案していきます。

 

この結果、医薬品事業の売上を、2019年3月期の160億円見込から2024年3月期には360億円と倍増させる目標となっています。

 

日本通運株式会社「経営計画 2023 補足資料」P6

 

 

 

さいごに

 

日通の経営計画には、エリア軸ごとの成長戦略が書かれています。

 

「欧州ではアフリカ進出企業が増えているのか」「南アジアではやはりインドが伸びているのか」「東アジアでは中欧鉄道を利用した事業拡大ってことは一帯一路が進んでいるんだな」などという世界情勢が見れて面白いですね。

 

日本通運株式会社「経営計画 2023」P10