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AIやIoTといった新しい技術の登場や、トランプ大統領の出現に代表されるような地政学的なリスク、異業種参入による業界の再編や人口の減少など、不確かな時代が続いていますね。
そうしたなかでも企業が変化に対応し、力強く成長していく。確かな成長戦略に則った経営計画の必要性が、より一層高まっています。
では、そのような経営計画はどのように策定したらいいのでしょうか?今日は経営計画策定の骨法ともいえる「SWOT分析」を紹介します。
SWOT分析とは、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の頭文字を取ったものです。
これら4つの要素だけ検討・整理すれば、あなたの会社の立ち位置が明確になります。
このSWOT分析、どんな会社でも経営計画を策定する上では避けては通れません。
もちろん、あのトヨタ自動車であっても!
トヨタ自動車といえば、日本を代表するエクセレントカンパニーですね。純利益で毎年2兆円弱……。途方もない収益力です。
そんなトヨタ自動車の凄すぎる経営力も、根底にはSWOTの考えが流れているのです!
ということで、ここからはトヨタ自動車の実際の事例を参考にしながらSWOT分析の進め方についてみていきましょう。
それでは、トヨタ自動車の強み(Strength)と弱み(Weakness)について分析してみましょう。この過程を内部環境分析といいます。
まず、代表的な強みとして挙げられるのは、デンソーやアイシン、豊田自動織機といった国際的に競争力のある企業中心とした強固な系列関係です。
一方で、ブランド力の低下や、海外売上比率が高く為替変動の影響を受けやすいという点が弱みとして挙げられます。1円円高になるだけで400億円も利益が減ると言われています。すごいですね……。
その他、強みと弱みを挙げてみると以下のようになりました。
次に、トヨタ自動車を取り巻く外部環境分析を通じて、機会と脅威についてみてみましょう。
機会についてもっとも注目すべきは、電気自動車や自動運転市場の拡大です。これは言わずもがなですね。
一方、最大の脅威はやはり、AI技術を核としたハイテク企業による新規参入です。グーグルやアップルといったアメリカ企業が水面下で動きをみせています。今後10年で、業界の地図が大きく変わっていくかもしれません。
機会と脅威をまとめると以下のようになります。
これで内部環境分析(強みと弱み)、外部環境分析(機会と脅威)ができました。SWOT分析は完了です。
しかし、この時点ではただの現状分析にすぎません。
ここから「クロスSWOT分析」と呼ばれる分析をすることによって、会社の経営方針を決めていきます。
ではトヨタ自動車はどのような経営方針を立てているのでしょうか?
電気自動車の量産体制を整えるために、トヨタ自動車は系列企業のエース社員を起用しています。
電気自動車市場の拡大に向け、系列との強い絆を活かしているのです。
トヨタ自動車は新しいクルマづくりのプラットフォーム「TNGA」を立ち上げています。これは今までの商品をもう一度生産工程から見直し、「体幹を鍛える」ことで商品力を向上させようという取り組みです。
新型カムリやSUVのC-HRなど、非常に評判のいいモデルを作り始めているようですね。
ハイテク企業の参入という脅威に対抗するには、技術力で負けるわけにはいきません。
そこでトヨタ自動車は強い財務基盤を活かし、有望なベンチャー企業への投資を行うためのファンドをアメリカで立ち上げました。
トヨタは今年から「機能軸」ではなく「製品軸」でのカンパニー制を導入しました。
これは、多様化する地域ニーズに適合した商品を素早く投入し、ブランド力を向上させるという意図があります。
ここまでの内容を整理すると、このような表ができあがりです。これで、クロスSWOT分析が完成です!
いかがだったでしょうか?
SWOT分析はトヨタ自動車のような超巨大企業でも活用できる、非常に優れた骨法であるとおわかりいただけたのではないでしょうか。
このフレームワークを活かして、トヨタに負けないエクセレントカンパニーを目指しましょう!