弊社の本店はさいたま市にあります。
今日は、そのさいたま市に本店を置く地銀である武蔵野銀行の中期経営計画をみていきます。
株式会社武蔵野銀行は、埼玉県さいたま市大宮区に本店をおく地方銀行です。
埼玉県に本店を有する銀行としては唯一、東京都内にも複数の支店や営業オフィスがあります。
創業以来「地域共存」「顧客尊重」を永遠のテーゼとして掲げており、「彩の国さいたま」の地元銀行として総合金融サービスを展開しています。
2018年3月期の業績は、経常収益722.6億円、経常利益157.3億円です。
経常収益はリーマン・ショック後から減少傾向。
経常利益は比較的安定して推移していましたが、2016年のマイナス金利政策の影響で2016年度に急減しています。
それでは、今後の戦略について、2019年3月13日に発表された「中期経営計画 MVP70」をみていきましょう。
なお、計画のサブタイトルになっている「MVP」とは、Musashino Value-making Planの頭文字を取ったものです。
2023年3月期の業績目標は、当期純利益100億円となっています。
なお、銀行のコア業務の純利益を示すコア業務純益は150億円の目標です。
当期純利益は、これまでの基準である100億円に戻していきたいという、若干控えめな目標となっています。
株式会社武蔵野銀行「中期経営計画」および「有価証券報告書」より筆者作成
2016年から続くマイナス金利政策の影響で、厳しい経営環境が続く金融機関。
そのなかで、貸し出しを増やすだけでなく、新たな付加価値の提供が求められています。
それでは、武蔵野銀行の中計から成長のタネを探していきましょう。
成長マーケット ~成長する分野~
まずは、成長分野からみていきます。
武蔵野銀行は、「医療分野」「農業分野」「先端産業分野」を成長分野と考えています。
株式会社武蔵野銀行「中期経営計画」P8
埼玉県は、以前より中小製造業の医療分野への進出を支援しています。
また、埼玉県鶴ヶ島市に石川島播磨重工業を誘致。民間航空エンジンの生産拠点にするという話も進んでおり、航空・宇宙分野の活性化は私個人としても楽しみにしているところです。
成長マーケット ~成長するエリア~
次に成長エリアです。
中計からは、県境・都内拠点が成長エリアと定められていることが読み取れます。
都内を成長エリアと定めるのはわかるのですが、県境を成長エリアとするのは意外な感じです。
株式会社武蔵野銀行「中期経営計画」P6
さらに、ASEAN地域における国際業務を強化するようです。
私自身も、タイの展示会で武蔵野銀行の方と名刺交換をしたことがありますが、海外で地元銀行の方と名刺交換するのも何か変な感じですね 笑
地元銀行が海外展開を後押ししてくれるのは、企業からすれば心強いのは言うまでもありません。
株式会社武蔵野銀行「中期経営計画」P6
成長マーケット ~対個人向け~
個人戦略では、相続サポートを重点的にコンサルティングサービスを強化していきます。
信託免許の取得や相続コンサルティングの内製化は面白い試みですね。
株式会社武蔵野銀行「中期経営計画」P7
セグメント別の営業態勢
これまで記述してきた成長マーケットの需要を獲得するため、新たにセグメント別の営業態勢を構築してきます。セグメントは法人向けと個人向けに分けています。
営業担当を法人向け200名、個人向け400名の態勢に分類。さらに、トレーニングにより、専門分野を持つ若手を増やしていきます。KPIとして「FP1級・中小企業診断士 215名」が掲げられているように、本気度が伺えますね。
株式会社武蔵野銀行「中期経営計画」P5
中小企業診断士界隈では、3年くらい前に、書籍「捨てられる銀行」が流行りました。
本書には、金融機関がコンサルティング機能を付加価値として提供すべきと書かれています。
金融機関が生き残るためには、単なる金利競争からいかに脱出するかが重要となるのは言うまでもありません。
武蔵野銀行の中計をみると、コンサルティング機能を強化させるためのいくつかの具体策がみえてきます。
地元金融機関の雄として、これを実現させ、金融機関のモデルケースを作ってもらいたいところです!!