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ソニーはなぜ復活したのか? 経営計画における『選択と集中』とは

 

2012年までに4期連続、累計約9,000億円もの赤字。続くリストラに、繰り返される業績予想の下方修正。

 

かつて日本企業の象徴として燦然と輝いていた「SONY」はもう終わりだと誰もが思っていました。

 

それから5年。どん底を見たソニーの2017年度営業利益は過去最高5,000億円もの規模を見込み、2012年には700円台だった株価も今や8倍近く、5500円を記録しています。

 

出典:SONY株式会社HP「2017年度 経営方針説明会

 

 

∨字回復を果たし、再び輝きを放ちはじめたソニー。今回の復活の立役者となったのは保険、音楽、ゲーム、デバイスといった事業です。

 

しかしソニーの再生を語る上で欠かせないのが、かつてお荷物事業と呼ばれていたソニーの祖業、エレクトロニクス事業の復活でしょう。

 

その復活を支えたものこそ、平井一夫社長の唱える「規模を追わず、違いを追う」という言葉に象徴される『選択と集中』というキーワードです。

 

出典:SONY株式会社HP「2017年度 経営方針説明会

 

 

今回はソニー復活を通じて、経営計画における「選択と集中」の重要性についてみていきましょう。

 

 

事業の「選択と集中」とは?

 

企業の持つヒト・モノ・カネ・情報といった限られた経営資源をどのように分配するのか。それこそが経営計画における「選択と集中」です。

 

事業領域を広げすぎ、経営資源を広範囲に分散させてしまうと、一つ一つの商品等で他社と差別化できず、ライバル企業との競争が激化していまします。

 

その結果、価格競争に陥り、収益性が低下し、業績が悪化していくのです。

 

 

輝きを失っていた時代のソニーのテレビ、カメラといった主要なエレクトロニクス製品は、シェアの獲得・拡大を至上命題とした戦略を採用していました。

 

その結果、経営資源が分散し、中国企業や韓国企業との価格競争に巻き込まれて行きました。

 

さらに縮小していく市場で戦い続けることで収益性を低下させ、世界市場で凋落してしまいます。

 

 

VAIOの売却の衝撃

 

そこでソニーは経営計画を変更、事業や商品を経営環境の変化に応じて「選択と集中」を行う方針へと舵を切りました。

 

そうした動きの中で特に象徴的だったのが、パソコン事業「VAIO」の売却です。

 

2014年、売却された当時のVAIO事業は、やはり台数シェアを追う戦略を採用していました。

 

スマートフォンやタブレットの登場で市場そのものが縮小しつつある中で、VAIO事業は思うように収益が挙げられない事業となってしまっています。

 

「VAIO」といえばかつて世界を席巻したソニーの代名詞的ブランドです。それを売却したのですから、当然社内外からは賛否両論が巻き起こりました。

 

しかし、この構造改革により、VAIO事業から成長事業であるデバイスなど、他の事業へと経営資源を振り分けることができるようになったのです。

 

VAIO売却は平井一夫社長の「選択と集中」戦略を象徴する出来事となり、ここから復活への第一歩を踏み出すことになります。

 

 

安売りはしない! 商品の「選択と集中」とは

 

次にソニーが行った「選択と集中」は、商品ラインナップの見直しでした。

 

前述のとおり、ソニーは全社的にシェアを追う戦略を採用していたため、商品ラインナップが膨大になっていました。

 

それにより利幅の少ない廉価な商品を扱う必要があり、収益性の低下をもたらしていました。

 

また、かつて輝いていた時代のソニーらしい「高くてもクールで高性能な商品」というブランドイメージをも毀損してしまっていました。

 

そこでソニーは、より付加価値の高い製品へと経営資源を「選択と集中」させる方針へとシフトし、成功を収めます。

 

まずスマートフォンブランド「Xperia」は、新興国向けの安い価格帯でのラインナップから、日本や欧州で人気なハイエンドモデルへの注力にシフトし、赤字体質から脱却しつつあります。

 

次に「BRAVIA」ブランドで展開するテレビも有機ELや4Kに注力し、10年連続、累積赤字が8,000億円にも達していたテレビ事業も大復活を果たしています。

 

出典:SONY株式会社HP「2017年度 経営方針説明会

 

 

 

また、カメラ事業においても、高級ミラーレスカメラ市場で独自のポジションを築いていきます。東京オリンピックへ向け、プロ需要の開拓をより一層推し進めていくようです。

 

 

「選択と集中」の実行力こそが、経営者の腕の見せどころ

 

このように、「選択と集中」をキーワードに経営計画の見直しを行ったことで、ソニーのエレクトロニクス事業は大復活を果たしました。

 

しかし、ソニーがこのように選択と集中を実行するまでに、様々な批判があったことも確かです。

 

この戦略を推進する平井一夫社長は、常に批判に晒されていました。

 

それでもソニーが再び輝き初めたのは、経営者が自身の経営計画を信じ、社内への浸透の努力を怠らず、それを実行しようという確固たる意志があったからに他なりません。

 

限られた資源を選択し、ターゲットとなる事業、市場へ集中する。こうした経営計画を徹底して実行することこそが、経営者の腕の見せどころです。

 

ソニー復活からは、そうした経営計画の実行力の重要性も学び取ることができるのではないでしょうか。

 

 

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