オリンパスや東芝というと何を思い浮かべるでしょうか。大変不名誉なことはではありますが、両社とも不正会計の代名詞となってしまっています。
そこで、今回は、不正会計をしないための数値目標の立て方を紹介します。
中小企業が経営計画を作るきっかけはなんでしょうか。もちろん、目標や将来の取組みを書面化して、従業員などと共有するためでしょう。しかし、現実は違います。多くの場合、銀行から「融資の審査をするので経営計画を作ってください」といわれて、仕方なく作成しているのです。そのため、多くの経営計画は、銀行が欲しい情報を中心に作られてしまいます。
銀行は、貸しつけたお金を滞りなく返済してもらいたいので、将来的に返済が可能かどうかを確認するために経営計画をみます。要は会計中心の経営計画が欲しいのです。会計中心の経営計画とは、今期の数値をベースに、「来期は人件費の削減を実施」とか「売上を何%アップさせる」という計画です。
しかし、この会計中心の経営計画では、数値目標を達成するために何をどうするのか? という行動計画が明確でないことが多くなります。この結果、当然ながら、数値目標の達成には至りません。しかし、大幅に達成できないと銀行への顔向けができませんね。そこで、不正会計の登場です。決算書を偽造したり、裏帳簿を付けるなどという不正に手を染めることになるのです。
頑張って売ろう! で売れたら誰もがナンバーワンです。本来であれば「どうやって売るか」という、売るための道筋が必要でしょう。経営計画も同様です。売上目標や利益目標が全く不要であるとはいいません。これはこれで必要なのです。ただし、本当に必要なのは、その目標を達成するためのプロセス。そう、行動計画です。それがない経営計画ならば、捕らぬ狸の皮算用になることは言うまでもありません。数値目標だけを立てるのは、机上の空論でしかないのです。
ですので、本来、数値計画は、経営計画全体のうちで考えれば、5%程度の比重で十分です。
企業が利益を生む要因はいったい何になるのか? を考えてみましょう。自社の強み、弱み、ライバル他社との位置関係などを知り、そのなかで自社に優位性があるものが利益を生む要因となっています。そのため、自社の優位性を洗い出することが、経営計画を作る最初の一歩となるのです。
次に必要なのは行動計画です。現状分析で発見した自社の優位性をどのように活用していくのか。たとえば、ホームページで優位性をアピールするなどの販売計画、優位性をさらに伸ばすための設備投資計画などを立てていきます。ここでポイントとなるのは、それぞれの施策について、「いつ、誰が、何を、どのように」実行するかまで落とし込むことです。これのいずれかが漏れても、目標達成は難しいでしょう。逆にここまで落とし込めれば、あとは実行するだけです。
これだけできれば、経営計画はほぼ完成です。さいごに、行動計画を実行した場合の数値計画をさらっと計算しておきましょう。これが本来の経営計画といえます。
本来の経営計画を作成し、1年後に従業員と喜びを分かち合いましょう!