経営計画はその企業がどこを向いて進んでいくのかを定めた文書です。上場企業ともなれば株主や投資家向けに今後の企業の発展、展望を示す重要なものです。
ですが、中小企業にはその必要が無く、銀行からの借入時に作る程度かもしれません。経営計画の重要性や必要性を解説していきます。
企業活動において、計画を策定したとしてもそのとおりになどいきません。特に銀行に提出するために作られた経営計画の多くは、数値目標がずらっと並んでいるはずです。捕らぬ狸の皮算用の数値目標になっていれば、計画通りにいかないのも無理はありません。
そんな計画ならば必要ないという経営者がいてもおかしくはないのです。
そもそも論として、売上目標や利益目標といった数値目標はあまり意味がありません。あくまで目標値であり、経営計画を実行して計画通りに成功した暁にはこれくらいの売上げや利益が確保できるという数字です。
無理な数字目標を立てその数字に追われてしまい粉飾決算を行ったり、架空の取引を行うなどの不正行為を行ったりするのは論外です。計画における数値目標は、参考程度と意識しましょう。
では、経営計画を立てる重要性はどこにあるのでしょうか。
毎日の業務に追われるうちに、会社がどこに向かっているのか?何を目的とし、どういう会社にしたいのか?が不明瞭になっていきます。こうなると売上至上主義になってしまったり、利益だけを追求し始めたり良い事はありません。
振り返って今迄どうだったのか。これからどういう企業になっていきたいのかを考えることが最も重要な事なのです。そのために経営計画を作成すると言っても過言ではありません。
企業は存続し続けることに意義があります。存続するためには、今後の展望や目的から営業品目などの経営戦略を立案し、軌道修正を行いながら進んでいく事が大事なのです。
経営計画を策定する上でのポイントとなる事は、売上げや利益といった数値目標に重心を置かない事です。あくまで成功したときに達成できるであろう数字という認識で目標を定めることです。
それでは何を経営計画に盛り込めばいいのか?と言われれば、会社がどの方向を向いてどこに向かおうとしているのかを定めることです。近い将来における自社の着地点をどこに置くのか?という事がとても重要なのです。
より具体的に言えば、「どこの誰に何をいくらで売るのか」という戦略から、今後の展望を考慮しどういう会社になりたいのかを整理し考えてまとめることです。自社の強みを生かし、発展していくための戦略を経営計画として定めるのです。
川崎重工の2016年から2018年の経営計画をみると、振り返りに始まり、今後の予測、将来の在り方が記載されています。将来的にどこに投資を行い、どの分野を中心にして事業を展開するのかが明確になっています。
出典:川崎重工HP(中期経営計画(2016~2018年度))
秀逸なのは将来の事業領域の内容がひと目でわかるイラストでしょうか。新製品・新事業の内容が時系列でわかるようになっています。ROBO-TECH分野をみると、ロボット化への具体的な取組み内容と時期がわかりますね。
出典:川崎重工HP(中期経営計画(2016~2018年度))
ここで重要なことは、数値目標はさらっと書かれている点です。とりわけ中小企業の経営者は売り上げ目標や利益目標を頭に置いてしまい、企業活動の結果であるはずの売上げや利益を目的にしてしまいがちです。
そうではなくあくまで自社の方向性を決めるのが経営計画なのです。
経営計画を立てるポイントとしては、自社の強みを生かす内容にするのが良いのは前述したとおりです。とはいえ課題を放置したままでは、それが原因で立ち行かなく可能性もあります。課題は課題として正確に分析し、解消していく事が必要でしょう。
経営計画を作成しても、環境や景気に左右される部分もありうまくいかないこともあります。中長期計画で大まかな戦略を立てておき、毎年の計画で微調整をしていく事が経営計画を作成する大きな目的です。