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輸出入取引の育成で経営基盤の強化を図る ~昭和通商 新中期経営計画~

 

いよいよ、今日はソフトバンクが上場しました。

公募価格1,500円に対し、初値は1,463円。良い結果とはなりませんでしたが、なんとか船出ができましたね。

 

さて、今日は、昭光通商の中期経営計画をみていきましょう。

 

 

昭光通商ってどんな会社?

事業概要

昭光通商株式会社は、昭和電工グループの中核商社です。

合成樹脂や化学品、金属から住宅建材、保険サービスや総合人材ビジネスまで、幅広い事業をグローバルに展開しています。

 

 

業績の長期推移

2017年12月期の業績は、売上高1,243億円、経常利益17億円です。

商社ということもあり、経常利益率は低めとなっています。

 

新中期経営計画

 

それでは、今後の戦略について、2018年12月17日に発表された「新中期経営計画」をみていきましょう。

 

2021年の業績目標

2021年12月期の業績目標は、売上高1,426億円、営業利益24億円です。

2018年12月期と比較して、売上高12.3%増、営業利益26.3%増の目標となっています。

 

昭光通商株式会社「新中期経営計画」より筆者作成

 

 

昭和通商のコア事業

昭和通商は、化学品・合成樹脂・金属・エレクトロニクスなどの原材料を中心に、食品・肥料・建材・分析機器類・保険・不動産と幅広い事業を展開しています。

売上構成比をみると化学品事業が31.1%、合成樹脂事業が27.0%、金属事業が29.8%となっています。

 

昭光通商株式会社「第98期報告書」P17

 

 

成長のタネ

それでは、中期経営計画から全体戦略をみていきます。

下図から、収益の基盤を支えているのは、不動産・保険、汎用原材料であることがわかります。ただし、これらの事業は成長性が低いようです。そこで、海外輸入材やアジア地域トレーディングビジネスを育成していくようです。ちなみに、トレーディングビジネスとは、需要者と供給者を結び手数料を稼ぐビジネスのこと。商社が一般的に行う取引ですね。

 

昭光通商株式会社「新中期経営計画」P17

 

 

また、肥料農材、農産物流通、住宅建材は赤字のようです。

赤字なのは良いとしても、成長性が低いのであれば撤退してしまえば良いのに…と思っていたら、撤退戦略についても書かれていました。

 

昭光通商株式会社「新中期経営計画」P21

 

 

話を育成事業の海外輸入材やアジア地域トレーディングビジネスに戻しましょう。

育成事業に経営資源を投下することにより売上を約310億円から420億円程度まで伸ばしていく予定です。グラフをみると、特に増加率が高いのは輸入(グレーの色)でしょうか。材料ビジネスにおいて、海外ネットワークを強化し、海外からの輸入を伸ばしていいきます。

 

昭光通商株式会社「新中期経営計画」P19

 

 

 

さいごに

 

昭光通商が前回発表した中期経営計画期間は2016年~2020年でした。

今回は、この中期経営計画の期間中に新計画が発表されたことになります。

この背景として、以下のように説明がなされています。

 

2015 年の中国鉄鋼関連ビジネスにおける多額の貸倒引当金計上に続き、連結子会社である株式会社ビー・インターナショナルの資金循環取引問題により財務体質が悪化し、現在の計画の達成が困難な見通しとなりました。また、この問題で当社グループの与信管理を中心とするリスクに対する管理の不十分性や、ガバナンス体制の脆弱性が明らかとなりました。

 

資金循環取引により粉飾決算をしていたようですね。

この過ちを繰り返さないために、現在は3ラインディフェンスを導入しているようです。

 

昭光通商株式会社「新中期経営計画」P25

 

 

3ラインディフェンスとは、現場、リスク管理部門、内部監査部門の3つの独立した部門がリスクをチェックする方式です。

これにより、昭和通商のコンプライアンスも強化されるでしょう。