ホテルって何か良いですよね。
私は、非日常感が味わえるようなホテルが好きです!
今日は、そんなホテル業界の老舗であるホテルニューグランドの中期経営計画をみていきます。
「株式会社ホテル、ニューグランド」は、神奈川県横浜市にあるホテルを運営する企業です。
観光スポットとして有名な山下公園の真向かいにクラシカルな雰囲気の建物を構え、横浜におけるランドマークのひとつにもなっています。開業当時から、皇族、イギリス王族などの賓客や著名人が多数来訪してきた歴史あるホテルです。
ちなみに、「ホテル」と「ニューグランド」の間に句点が入っているのが正式な商号だそうですが、商号に句点が入っているのは大変珍しいですよね。
ホテル、ニューグランドが設立されたのは大正時代。現在、日本語の商号に「。」や「、」といった句読点は使えないため、古い時代の名残が残っているのでしょう。
2018年11月期の業績は、売上高51.2億円、経常利益0.2億円です。
売上は横ばい~若干減少で推移しているものの、赤字の年もみられます。
今後、売上増加とともに、利益をしっかり確保していきたいホテルニューグランド。
今後の戦略について、2019年1月17日に発表された「新中期経営計画2019」をみていきましょう。
2021年11月期の業績目標は、売上高56億円、営業利益1.1億円です。
東京オリンピックが開催される2020年が業績のピークになるようです。
株式会社ホテル、ニューグランド「新中期経営計画2019」より筆者作成
中計の基本戦略のなかから成長のタネを探してみます。
まずは、設備についてです。
中計には以下のとおり書かれています。
【日本におけるクラシックホテル文化の歴史と伝統の継承】
50年後、100年後を見据えた施設造りを引き続き推進(本館大規模改修+耐震改修済証取得、新館改修工事)。
ニューグランドの本館建物は建造より90年が経過した今でも、創業当時の容姿を変えることなく現在に至っています。町並みとも合っていて、良いですよね!
ただ、震災などの自然災害を考えると、お客様の安全を守るためには改修工事が欠かせません。
また、ニューグランドの現在の宿泊客をみると、22%がインバウンドとなっています。客室についても宿泊客の変化に対応しなければなりません。
個人的に、ホテル経営の難しい点は、改修工事のタイミングかなと思っています。
次は、集客です。
中計をみると以下のように書かれています。
【日本におけるクラシックホテル文化の歴史と伝統の継承】
ホテルニューグランドファンの新規開拓強化(神奈川県以外からの来訪促進やインバウンド施策を始動)。
現在はホテルの集客方法も変わっています。
皆さまも、expediaやhotels.com、Booking.com、トリバゴ、楽天トラベルなどの宿泊関連インターネットサイトでホテルを決めることが多くなっているのではないでしょうか?
ただし、これらの宿泊サイトで宿泊する方は、リピーターにはなりづらい気がします。
一方、世界的な潮流をみると、ヒルトンやマリオットなどは専用アプリを準備。そのアプリでポイント管理、予約、情報提供などを行っています。これにより宿泊客の囲い込みを行っています。
ニューグランドの中計には、「ホテルニューグランドファンの新規開拓強化」と書かれています。
ファンというからにはリピーターです。どのようにファンを作っていくのか。楽しみですね。
さらに、中計の戦略のひとつに以下のような文言があります。
【クラシックホテル各社(9ホテル)と連携して、日本のクラシックホテル文化を内外に広める】
クラシックホテル各社で「日本クラシックホテルの会」を結成し、勉強会、社員の相互交流、共同宣伝などを企画。
私、日本クラシックホテルの会というものを初めて知りました!
めちゃめちゃ魅力的なホテルが揃ってますね。
日本クラシックホテルの会 HP
日本クラシックホテルの会では『クラシックホテルパスポート(スタンプブック。スタンプを集めると特典が受けられる)』や共同イベントなどを実施してます。
日本のクラシックホテルが共闘すれば、かなり面白い動きができそうな気がしますね。
こちらも楽しみです。
第3次安倍内閣のとき(2015~2016年)、2020年の訪日外国人を4,000万人にするという目標が掲げられました。当時の訪日外国人は2,000万人程度であったため、強気の目標だなくらいに思っていましたが……年々増加していき、2018年は3,000万人を突破したようですね。
ジェトロ「日本の観光統計データ」。2018年のデータは1月~9月
ニューグランドのインバウンド比率をみても、2018年度(実績)22%、2019年度(目標)25%、2020年度(目標)30%と大幅に増えていくことを見込んでいます。
ホテル業界にとって、まだまだ追い風が吹き続けそうです。