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世界16強 日本代表を支える「日本サッカー協会」って? 経営計画から活動内容を読み解く

 

感動をもたらすビジネスモデル

 

大きな熱狂と感動をともに幕を下ろした、2018年ロシアワールドカップ。我らがサムライブルーもダビド・ハリルホジッチ前監督の電撃解任や厳しい批判を覆し、決勝トーナメントへの進出。ベルギーとの熱戦を通じて日本中に感動をもたらしましたね。

 

そんな日本代表の活動を支え、日本のサッカー文化を支える組織が公益財団法人日本サッカー協会(以下JFA)です。日本代表の活動だけでなくJリーグ、女子サッカー、そして子供から大人まで、サッカーを楽しむすべての活動を陰ながらサポートしています。

 

そんなJFAですが、サッカー文化を支えるために、どのような事業を行っているのでしょうか? また、スポンサーや日本代表関連のビジネスは、どの程度の規模を誇っているのでしょう?

意外と知られていないJFAの経営計画の実体に迫っていきたいと思います。

 

 

JFAの規模感はどの程度?

 

それではまず、JFA全体の経常収益をチェックしてみましょう。企業でいうところの営業収入、つまり本業での収入額は約200億円。これは神奈川県にある「よみうりランド」の収益とだいたいと同じくらいの規模感です。

 

さて、その200億円の内訳を見てみると、下記のような形になります。

 

出典:公益財団法人 日本サッカー協会「収支予算書総括表

 

この中で大きな金額を占めているのが、「事業関連収益」及び「代表関連事業収益」となっています。

 

出典:公益財団法人 日本サッカー協会「収支予算書総括表

 

全事業中で最大規模である約107億円を上げている事業関連収益。こちらは日本代表のスポンサーシップ企業からの協賛金収入と、グッズ販売のライセンス収入から構成されています。現在スポンサーシップを締結している企業は10社あり、最大の財源となっているようです。

 

出典:公益財団法人 日本サッカー協会 ホームページ

 

次に大きいのが51億円を占める代表関連事業収益です。こちらはフル代表だけでなく年代別、そして女子も含む各日本代表の試合収入と入場料、そしてテレビでの放送権料といったものから構成されています。

 

 

JFAを支える日本代表ビジネス

 

続いて収益の第3位と第4位はそれぞれ競技開催事業収益(天皇杯や全国高校選手権の入場料収入やテレビ放送権料)と指導者普及事業収入(指導者講習会や研修会の参加費)です。

 

出典:公益財団法人 日本サッカー協会「収支予算書総括表

 

こちらのほうがいわゆる「日本のサッカー協会」の本業のイメージに近いのではないでしょうか? しかしこの2事業は合わせて30億円ほどの収益となっており、日本代表に関連する収益の5分の1ほどの規模でしかありません。

 

ここから見えてくるのは、日本のサッカーを統括するJFAの経営は、日本代表によって支えられているという事実でしょう。

日本代表という存在がどれだけ巨大なのかということがよくわかります。

 

 

躍進と共に存在感を増す、日本代表ビジネス

 

今回のロシアワールドカップで日本代表は決勝トーナメントへ進出し、芳しくなかった前評判を大きく覆しました。そして遡ること8年。南アフリカワールドカップの岡田ジャパンも同じく下馬評を覆し、ベスト16へ駒を進めました。

 

低い期待値や開幕前のイマイチな盛り上がり、それを覆す大躍進。ロシアと南アフリカのワールドカップは多くの共通点があります。しかし8年前と現在とでは、日本代表のJFAにおける「価値」というものが大きく異なっているのです。

 

南アフリカ大会後の2011年、日本代表関連事業は90億円ほどの規模でした。しかしロシアワールドカップを迎える2018年には、なんと1.7倍の伸びを記録し160億円の大台をつけています。

 

収支予算書を元に著者作成

 

特にスポンサーからの協賛金収入が多くを占める事業関連収益は2倍にまで拡大しています。ワールドカップ本戦ももちろんですが、アジア予選やアジアカップといった大舞台でも大きな感動を呼ぶプレーを見せる日本代表。ブランドイメージの向上を目指す企業にとって、日本代表はより魅力的な存在になってきているようです。

 

 

日本サッカー文化の開花に向けて

 

ワールドカップの開催期間中は熱狂と興奮が列島を覆いますが、閉幕後は潮が引くようにサッカーへ対する関心は大きく低下してしまいます。8年間日本代表のキャプテンを務め、ワールドカップ終了後に代表の勇退を表明した長谷部誠選手も「Jリーグや海外日本人選手、女子にも関心を持ってほしい」というメッセージを帰国会見で語っていました。日本でサッカー文化がより深く根付き、そしてワールドカップベスト8という夢を今度こそ叶えるためにも、JFAの奮闘に期待したいですね。