経営計画の作り方には大きく2つの方法があります。
ひとつは経営者がトップダウンで作る方法。もうひとつがボトムアップで作る方法です。ボトムアップとは、従業員が個々(部署ごと)の計画を作り、それらを集約したものを会社の経営計画とする方法ですね。
もちろん、どちらの計画作成方法が良いということはありません。
ここでは、トップダウンで作る際、目標設定に使えるフレームワークを紹介します。
経営者がトップダウンで計画を作る際は、この点だけ注意すればOK!
これが網羅されていれば、銀行や従業員も納得の計画になるでしょう。
SMARTとは、具体的(Specific)、測定可能(Measurable)、達成可能(Achievable)、実績に基づく(Result-based)、期限あり(Time-related)の頭文字を取ったものです。
それでは、それぞれの項目をみていきます。
経営者が目標設定をする際、具体的な目標になっていなければならないという意味です。
たとえば、NECが2016年4月に発表した中期経営計画をみていきます。
出典:NEC HP「中期経営計画 (2016年4月28日)」
方針として「収益構造の立て直し」があげられています。これだけみると、いまいち、具体性に欠けている気がしますね。そこで、横に「営業利益率5%を実現する収益構造の確立」という文言が添えられています。
たったこれだけで、具体性が増し、誰がみてもわかりやすい目標に大変身!
ちなみに、Specificの箇所は、Stretch(背伸びした目標であるか)と置き換えて作ることもあります。
こちらはわかりやすいですね。成果が測定できなければ達成度を測ることができず、実行する従業員のモチベーションも下がってしまいます。
私がNECの従業員であったとして、経営者が「収益構造を立て直せ」と指示してきたら間違えなく無視しますね。「営業利益率5%」と言われてやっと思考が働き始めるような気がします。
達成可能であるか?というのは、ムチャではないかということです。当然、経営者がトップダウンで計画を作る際は、ムチャな目標を指示したいところです。しかし、どんなに崇高な目標であっても、ムチャであれば、従業員はやる気すら起こりません。
ちなみに、NECの目標営業利益率は現状+1.8%のようですね。結構高めな目標のような…
なお、こちらの項目も「S」同様、Attainable(到達可能である)、Agree on(同意できる)、Action-based(行動に基づく)などを使う場合があります。個人的には、Action-basedを良く使います!
こちらも、Realistic(現実的である)、Reasonable(合理的である)、Relevant(関連性がある)など、色々な読み方ができますが、個人的にはResult-basedを好んで使います。
実績に基づいているか?については銀行や投資家等の第三者が目標をチェックするためによく使われています。
たとえば、新規事業を事業計画にまとめる際を考えてみましょう。下の2つについてどちらの実現可能性が高そうだと思いますか?
・今までやったことはないけど面白いアイデアなので新規事業に挑戦します!
・既存事業のノウハウを使って新規事業に挑戦します!
もちろん、2つ目の方が、実現可能性が高いと判断されます。
NECをみると、以下のようなロジックで実現可能性を説明していますね。
営業利益5%にするためには売上げを30,000億円にすればいい
↓
・注力事業の売上げを3,070億円にする
・国内事業は22,000億円まで減らしてOK
↓
注力事業は売上げが増えた実績があるから今後も増えるよ(Result-based)
計画に期限を持たせる事は当たり前の事なので、特に詳しくは説明しませんが、期限がないと、いつまでに達成しなければいけないのかわかりません。これは経営陣だけではなく、従業員もまた、混乱してしまいます。
NECの中期経営計画であっても、前提として2018年までの計画としていますね。
これまで説明してきたように、SMARTは、計画作成(目標作成)のお作法ともいうべきフレームワークです。
他人に情報を伝える際は5W1H、文章を書く際は起承転結。
皆さま、普通に身についていますね。
同様に、経営計画の目標を決める際は、SMARTを意識してみましょう!