製造業を経営するうえで、外部環境の変化は決して無視できません。近年、技術革新の速さも相まって市場の変化、ニーズの変化がとても速いので、気が付けば時代遅れにもなりかねません。今後のトレンドを予測しつつ、注目すべきポイントを紹介します。
製造業において、多くの中小企業は、大手企業の下請けや協力企業として経営されています。相見積もりは海外の安い工賃との競争でしょうし、技術力が足りなければ仕事を依頼されることもありません。安くて良い品質のものを生産するのが製造業の究極の命題でもありながらも、外部環境の変化によって、状況が一変してしまう事はよくあります。
経営者にとってみれば景気の良し悪しだけでも気になるものです。景気の悪化によって物が売れなくなれば、仕事も減ってしまいます。それだけではなく、モデルチェンジやニーズの変化があればその変化にも対応しなければなりません。自分たちの技術を高めるだけでなく、市場や外部環境に目を配り、営業方針や経営方針を変化させることがとても重要なのです。
日本は少子高齢化社会であり、人口が減っていきます。市場も今まで以上に縮小していく事は明白でしょう。国内の需要が減るために、海外への輸出品やグローバル企業化も必要となってきます。先を見据えると不安な要素はたくさんありますが、その分チャンスもたくさんあるのです。いかに時代に合うように変化させるのかが企業存続には大事なことです。
労働人口が減るという話題は、この頃ニュースなどでも報じられていますので知らない人はいないかと思います。少子化対策が上手くいって、今後人口増に転じるかもしれませんが現実的ではありません。労働人口が減ることによって、企業のヒト不足はさらに加速します。外国人労働者や移民などで補っていく企業もあるでしょう。今注目されているのはロボットです。
ロボットは既に様々な工場で利用されていて自動生産を行っています。さらに、非製造業の分野、とりわけ危険な作業やマンパワーが必要な分野へも展開が進んでいます。ロボットを利用してヒト不足の解消を行えないか?というのが今のトレンドになりつつあります。
ロボットと同じようにAIやIoTも、今注目の分野です。スマートフォンやタブレットがパソコンにとって代わりつつあり、携帯端末で製造ラインをコントロールできるようになっていくと考えられています。この分野の市場はこれから発展していく注目の分野でしょう。
こちらは日立金属株式会社の2018年度の中期計画の12ページ目です。日立金属でもIoTによるモノづくりの構築を命題に掲げています。このように、IoTを利用して革新をしようというのがこの数年のトレンドでしょう。
出典:日立金属株式会社「2018年度中期経営計画 概要」p12
続いて、NECの2018年度の中長期計画の抜粋です。こちらでも、IoT時代と明記されています。IoTによって生み出される事業に注目していくことが分ります。
出典:日本電気株式会社「2018中期経営計画」p24
近い将来、労働人口は減っていき人手不足になっていきます。大企業と違い、中小企業では特にそれは顕著となります。自社の人手不足解消にロボットやAIは必要不可欠なものになってくるでしょう。通信技術の発展や速度の高速化によって、IoTも重要なポイントになってきていますし、次の技術イノベーションを引き起こすとも言われています。
製造業を取り巻く外部環境は今後、加速度的に変化しそうですが、それに慌てる事無く対処していく為にもトレンドを抑えておく必要はあります。中小企業だからこそできる事もたくさんあるのでチャンスと捉えて前向きに対処するのがポイントです。
既存の分野を徹底的に追及していき、伝統工芸として残っていくものもあるでしょう。変化し違うものにとって代わる事もあります。近い将来、多くの業種で、AIに仕事を奪われるとも言われています。どんな企業になっていくのか、経営者の腕が試されるところでしょう。外部環境の変化をしっかり捉え、いかなるリスクにも即応できるようにしておきたいところです。