安倍首相がアベノミクス最大の勝負事項と位置づけた「生産性革命」。まだ具体的な施策は示されていませんが、ここでは、生産性革命の概略と活かし方を説明します。
現在、大企業を中心に景気が良くなっています。景気が良ければ、仕事が増えるでしょう。しかし、そこに問題があります。労働人口が減少しており、求人をかけても人材が集まらないのです。
ちなみに、有効求人倍率はこんな感じです。
有効求人倍率は1.5倍となっています。1.5倍ということは、1件の求人に対し、応募が0.67件(=1/1.5)しかこない状況ですね。
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(平成29年9月分)について」より引用
そこで「生産性革命」がでてきます。企業が成長するためには、労働人口の減少を上回る生産性の向上が必要だよね!という考え方です。「革命」という文字が使われていますが、少しくらいの改善ではなく革命的な改善を行うことで経済を発展させることができなければ、消費税増税ができないという安倍首相の想いがあるのかもしれません。
実は、今までも政府は「生産性を上げるために、設備投資や人材教育などの投資を行ってください」と一貫して企業にお願いしていました。今後はこの流れが一層高まってくることでしょう。
労働人口の減少で割を食うのは、どう考えても中小企業です。今後、企業の規模が小さくなればなるほど、人材の確保に苦労する事が増えてくるでしょう。従業員が減れば、仕事をこなせる量も減り、売上が下がる。こうなることが目に見えていますね。そこで、生産性を向上させてひとり頭の生産額や販売額を増やす「生産性の向上」が必要となってくるのです。
生産性の向上とは、究極のコストダウンでもあります。低価格帯でしか物が売れないデフレ時代に利益を上げようとすれば、大幅なコストダウンが必要でした。
その中で、たとえばサービス業では従業員を減らすことで人件費を削りました。その結果、労働時間の増加、サービスの低下を招き更なる収益の悪化につながってしまった企業も多いでしょう。ひとつひとつの作業工程をしっかり見直し、従業員が減っても同じサービスが提供できるようにしてから従業員を減らせば問題なかったのかもしれませんが、そこまで待てなかったり、収益を優先した結果として人を減らすことを先にやってしまったというのが実情かもしれません。
生産性を劇的に改善させるには、設備投資や人材教育投資がポイントです。投資無くしては「生産性革命」につながらないどころか、先々の企業運営に大きな影を落とすことなります。どのような投資をするのかについては、経営計画を作成しながら必要な取組みを考えていくのがgoodです。
生産性革命の本質は、サービスや品質の低下を招くことなく人件費を削ることにあります。経営計画のなかでは、どのような施策を実行すれば、これが実現できるかを明文化するのがよいでしょう。生産性を上げることを1つの目標に置きましょう。
どうすれば将来、我が社が残っていけるのかを考慮して文章化するのが経営計画です。その中に、生産性の向上の具体的な内容を入れる事で、将来の人口減に対応することが可能となります。生産性を改善する具体的なものは、たくさんあります。たとえば、業務のアウトソーシング、ITによる管理、IoTやAIの活用など、考えれば枚挙に暇がありません。
生産性革命が必要なのは明白です。あとは、自社にあった生産性革命が何なのかを見極め、実行するのが経営者の腕の見せどころとなるでしょう。