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節税対策に倒産防止共済に加入する3つのデメリット!

 

私、本日、倒産防止共済に加入してきました!

 

でも「本当に加入して良かったのか」、未だに迷っています。
本記事では、なぜ私が加入に悩んだのか、その理由を解説していきます。

 

今年は利益がでそう!さあ、倒産防止共済に入ろう!

 

税理士さんに節税対策を聞くと、9割以上の確率で「倒産防止共済(経営セーフティ共済)」への加入を勧められます。現存する、最強の節税方法といわれる所以ですね。

※倒産防止共済の説明は割愛します。共済の内容はこちら

 

私も節税のため加入しました。
加入を決めたときの私の思考はこうです。

 

今年の6~11月までは上限の20万円を支払う。その後、一度だけつかえる前納制度により、12月に1年分の240万円を支払う。それにより、年間360万円の経費を増やすことができる。年間360万円の利益圧縮は効果が高い!

 

と……。
ただ、後からじっくり考えると本当にメリットが高いのかわからなくなってきてしまったのです。

 

参考)倒産防止共済への支払プラン。1年目に支払を集中させ、2年目以降は少額に設定。

 

 

デメリット1 その節税効果、本当にメリットある?

 

年間360万円の利益を圧縮。これは、法人税・法人住民税・法人事業税などのすべての利益に対する税金の税率を25%とすると90万円の節税に繋がります。たしかに節税効果は高そうです。

 

しかし、倒産防止共済は40ヵ月未満で解約すると、受け取れる金額が掛金総額を下回ります。つまり、約3年間は資金が拘束されることを意味します。

 

私がもっとも悩んだ点がこの点です。
この360万円を元手に事業に投資すればもっとリターンが多いのではないかと。
下表の通り計算(税金は無視しています)すると、この360万円を毎年8%以上で運用できれば、節税効果の90万円を超えることがわかります。

 

年間8%以上の運用で、倒産防止共済の節税メリットを超える

 

事業をしていると、8%を超える運用なんて簡単です。
たとえば、いま、パート2人で行っている業務(給料合計200万円/年)があるとして、1,000万円のパソコンソフトを導入すれば1人で回せるとします。コスト削減効果は100万円/年ですね。この設備投資の利回りを計算すると10%(=100万円/1,000万円)になります。

 

3年もの間、この360万円が資金拘束されると、新たな投資ができなくなるのではないかと考えたのです。

 

 

デメリット2 解約時のシチュエーションはどう想定?

 

倒産防止共済を解約すると、利益が増えます
このとき、利益を計上し、税金を払うのでは節税効果があるとはいえません。納税を先延ばしにしているだけです。
では、どのようにこの利益を消すのか。解約時のシチュエーションが重要です。

 

赤字の年に解約しよう

赤字がでた年に解約。そうすれば、赤字を埋めることができます。
これがもっとも有益な使い方でしょう。……でも、3年後は赤字にしよう!と思っている経営者って、経営者失格ですよね。私も、近い将来に赤字にしようなんて思っていません。

 

3年後に360万円の投資をしよう

3年後に360万円の投資をする際、解約して投資資金に充てる。
もっとも、現実的な考え方ですね。
でも、よく考えてみてください。投資をした際、この投資資金全額は経費にはなりません。減価償却費分だけ費用になるのです。たとえば、耐用年数5年のソフトウェア(360万円)を購入した場合、投資年度に費用になるのは72万円だけです。結局、利益が288万円(=360万円-72万円)増えてしまいます。
この使い方をするのであれば、現時点の倒産防止共済に節税効果が高いとはいえません

 

3年後に360万円の費用を使おう

3年後に会社移転を予定しているため解約して引越し費用に充てよう。3年後は豪勢に海外に社員旅行だ。
最高の使い方ですね。
3年後に一括して経費になる大型支出があれば、倒産防止共済への加入は大賛成です。
ぜひ、今年節税した90万円を、従業員が仕事をしやすい椅子の購入、ビジネスクラスでの社員旅行など、有益に使ってください!

 

 

デメリット3 簿外資産なので決算書の見栄えが悪い

 

倒産防止共済は支払時に経費になるが、資産自体はストックされている。いわゆる「簿外資産」というものになります。決算書には、経費の増加しか現れません。第三者である銀行などからは「この会社は利益が少ないな(利益率が低いな)。」「経費使いすぎ!」とみられてしまう可能性があります。
銀行からの評価が下がれば、融資を受けづらくなったり、金利が上がったりします。一方、今年、倒産防止共済を使わずにしっかり利益をあげれば、銀行からの評価は高まります。この辺のコントロールが難しいのです。

 

 

さいごに

 

色々とメリットが大きい倒産防止共済。
個人的には、①まだ自社への投資が不十分な会社は加入すべきでない、②もう、新たに設備投資をする必要もないという会社は加入しても良い、かなと思っています。

 

今から倒産防止共済共済に加入しようと考えている経営者はぜひ、一度、本当に加入が必要かを再検討してみてください。