法人口座を作るのに、2件の都銀に冷たくあしらわれた私は、結局オフィスから30分ほどかかる、準大手都銀の支店にまで足を運ぶことになりました。
冷静に考えて、何かいかがわしい商売を始めるわけでもなく、特別な問題があるわけでもないのに口座開設を断られるということは、そもそも銀行とは「そういうもの」なのではないか。
それを理解するのに、無駄な1日を過ごしてしまったわけです。
つまり、銀行は「知らない人間は相手にしない」ものだということです。
今となればよく分かることですが、結局大手都銀の、なおかつ都市部にあるような支店は大口の法人ばかりを対象にしているのであって、来年には潰れているかもしれない登記したての会社など最初から相手にする気はないということです。
おとなしく分をわきまえ、はじめから地銀に足を運んでいれば、その場で法人口座を作ってもらえた可能性が高かったはずです。
結局、私は自分が長年、給与受取口座に指定していた銀行でやっと、法人口座の開設に応じてもらうことができました。
このとき最初に聞かれたことは、同銀行で個人口座を持っているかどうか、ということでした。
普通口座を持っていて、長年給与受取口座に指定していたことと、すでに解約はしていましたが、直近まで定期預金口座があったことを告げたのですが、ただそれだけのことで、準大手とは言え都銀の都市部にある支店としては本当にあっけなく、簡単に口座を作らせてくれたのです。
早い話が、「いつもありがとうございます」ということで、僅かでも存在する与信が評価してもらえたということでしょう。
何一つ与信がないできたて法人の分をわきまえ、最初からこうすればよかったと、今更ながらまだ自分の立ち位置を理解していない頭の悪さに背中が寒くなる思いでした。
これから独立を考えている人がいれば是非参考にしていただきたいポイントとして、独立後に取り引きを考えている銀行があれば、早いうちからできるだけ、個人としてでも密度の濃い取り引きをしておくことをお勧めします。
そうしないと、思わぬ形でスタートから躓くことになってしまいます。
なにはともあれ、法人口座の開設は完了しました。
次に考えるべきは不足している資金の借り入れです。いよいよ「本丸」である日本政策金融公庫に融資を申し込みます。
正直、この融資の取り付けには十分な自信がありました。
日本政策金融公庫には、新規借り入れのための用意された推奨フォーマットが一応用意されていますが、記入するべきことは、今まで当たり前のようにこなしてきた銀行借り入れとほとんど同じです。
記入するべきこと。それは、実現性の高い事業計画を立案し、資金計画やキャッシュフロー計画書でお金の流れを可視化し、どの様に事業を立ち上げていくのか。
それをわかりやすく伝え、返済に全く問題がないこと。
事業の立ち上げ確度は非常に高いことをさまざまな資料で裏付けること。
自分にはその事業を遂行するだけの専門知識と計画性があり、強い意志を持ち合わせていることなどです。
私は日本政策金融公庫のフォーマットにそれらの事項を手際よく記入し、さらに元CFOの経験も活かしながら無駄に精緻な資金繰り計画も立て、意気揚々と先方が指定した面会日に足を運びました。
そして各資料について説明し、自信を持ってプレゼンを終えると、融資が下りることを確信して、予定どおり、設備投資やオフィスの造作を進めていきました。
あとは、融資されたお金の振込みを待つばかりです。
しかし、そうは行かなかったのです。
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【ストーリー】起業者必読!! 500万円の創業融資失敗談と金融機関との付き合い方
はじめから記事を読む場合はこちら第1話 【ストーリー】起業者必読!! 500万円の創業融資失敗談と金融機関との付き合い方
第2話 思わぬトラップ、法人口座が作れない!
第3話 続く独立の厳しさ。一難去ってまた一難
第4話 リベンジを強く心に誓う
第5話 なぜお金を借りられなかったのか
第6話 日本政策金融公庫からの創業融資を獲得
第7話 計画的に銀行と仲良くなろう
第8話 与信を上手に積み上げる方法
第9話 【さいごに】結局のところ、大事なのは事業計画とそれを実現する強い意志