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【ストーリー】起業者必読!! 500万円の創業融資失敗談と金融機関との付き合い方 第6話

 

一度創業融資を断られた私。ではなぜ、その後1年ほどで、借りることができるようになったのか、ということをお話ししていきます。

 

これが、日本政策金融公庫が考える3つ目の、「貸してもいいだろう」の物差しのお話です。

それは、公的機関からの斡旋です。

 

私の場合、公的機関から日本政策金融公庫に「貸してやれ」という何らかの斡旋があったわけではありません。

正確に言うと、公的機関が主催する起業セミナーや経営セミナーに規定の回数出席し、講師である中小企業診断士や税理士などのアドバイスを受け、事業計画書作成などのスキルが認定されると、信用保証協会の斡旋を受けられるようになる、という制度を利用したのです。

 

このような制度は日本全国いずれの市町村にも多かれ少なかれ、形は違えど存在します。

独立を考えており、創業融資を得たいと考えている人にはとても有利な制度なので、ぜひ取引のある税理士や中小企業診断士などに相談して、利用することを強くおすすめします。

内容について簡単にまとめると、概ね募集は年に1回~数回程度。市町村の規模や予算によっても異なりますが、大阪の場合、数回程度募集されていたように記憶しています。

全5回ほどのセミナーの内容は、事業計画や経営計画の立てかたに各種財務諸表の見かた、それらの予想シートの作りかた。

またターゲットとなる顧客の選定方法や契約の基礎、さらには都道府県市町村が行う起業バックアップ制度の説明などが主です。

 

率直に言って、もともとある程度の規模の会社でCFOをしていた私にとって、スキルという意味ではそれほど勉強になる内容ではありませんでした。

しかし、年齢や性別も様々で、将来描いている事業も全く違う「新米経営者」が集まる場は、なかなかエキサイティングなものでした。

そしてそういう面々が集まると、やはりそれぞれのビジネスモデルに肯定的・批判的検証を得られることもあり、実りが多い体験でした。

 

そしてこの制度のもっとも便利なところは、規定回数の出席を終え、講師である中小企業診断士や税理士が一定のスキルを認めると、先述のように信用保証協会付の融資が受けられるよう斡旋されるという効果があることです。

なお信用保証協会とは、中小企業が会社を運営する上で不足する資金の銀行借り入れを行うに際し、その融資が降りやすいように文字通り、信用を保証してくれる協会のことです。

会社は、規定の信用保証料を払うことで、保証協会が連帯保証人となり、万が一融資の回収が焦げ付いたときには債務者(会社)に代わり、返済を行ってくれます。

そのため、銀行からすれば一定の額を除きほとんどリスクがないため、喜んで融資に応じることになる、という制度なのです。

上手に利用すれば、融資取り付けへの道はぐっと近づきます。

 

そして、市町村の外郭団体などが、

「この経営者は大丈夫ですよ」

とお墨付きを与えてくれれば、実際の信用保証協会の面接の際に、よほどデタラメな事業計画書や経営計画書を持ち込まない限り、あるいはその熱意が疑われるような不真面目な態度を取らない限り、かなりの確率で融資を受けることができるでしょう。

私はこうして、最初の創業融資は市町村の主催する起業セミナーに参加し、そこで公的機関から貰ったお墨付きを引っさげて信用保証協会に行くことで、500万円の融資を受けたのです。

 

一度、公的機関からのお墨付きが付いて、なおかつ信用保証協会付融資の実績が付き、予定通り何度かの返済をこなしたら、あとはそれほど難しいことではありません。

時期を見計らって日本政策金融公庫に赴くと、形ばかりの事業計画書を提出するだけで、ほぼノーチェックともいえるような容易さで融資を受けられたのです。

 

創業の時に、どれだけ丁寧に説明し資料を作っても貸してくれなかった日本政策金融公庫。

しかしながら、逆に言えば計画がキレイであればあるほど、素性のわからない人間は怪しく見えるものです。

私は、「言葉を尽くして合理的に説明すれば、創業融資などそれほど難しいものではないだろう」と考えていたのですが、事実はまったく違っていました。

 

0の与信は言葉を尽くしても1にすることはできなかったのです。

事業計画作成でも同じことが言えますが、まずは0を1にすること。

そのためには何から始めるのかを、しっかりと考えること。

その原則さえ外さなければ、創業融資を受けることはそう難しいことではないはずです。

 

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【ストーリー】起業者必読!! 500万円の創業融資失敗談と金融機関との付き合い方
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第1話 【ストーリー】起業者必読!! 500万円の創業融資失敗談と金融機関との付き合い方
第2話 思わぬトラップ、法人口座が作れない!
第3話 続く独立の厳しさ。一難去ってまた一難
第4話 リベンジを強く心に誓う
第5話 なぜお金を借りられなかったのか
第6話 日本政策金融公庫からの創業融資を獲得
第7話 計画的に銀行と仲良くなろう
第8話 与信を上手に積み上げる方法
第9話 【さいごに】結局のところ、大事なのは事業計画とそれを実現する強い意志