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【ストーリー】起業者必読!! 500万円の創業融資失敗談と金融機関との付き合い方 第7話

 

さて、信用保証協会と日本政策金融公庫から十分な創業融資を受けることができたわけですが、もちろん、それで終わりではなくむしろここからがスタートです。

 

計画的な事業の成長のために、日本政策金融公庫や信用保証協会からの融資をどのように上手に使っていけばいいのか。今回の記事では、その活用法についてお話しします。

 

経営者であれば誰しも、会社を成長させたいと願いますね。

そのために事業計画書を策定し自分との約束を結ぶわけですが、その初期においてはやはり、銀行の果たす存在は非常に大きいといえます。

もちろん、融資という意味でもその存在は頼りになりますが、銀行が力になってくれるのはお金のことだけではありません。

 

話が逸れるので短くまとめますが、要は銀行と計画的に仲良くなり、計画的に与信を積み上げる作業を、事業計画書の中に盛り込んでもよいということです。

ただ、事業計画書は経営者の行動計画までを落とすものではないので、そこは別途行動計画書を作成するなど、その辺りは自身が機能するやりかたで盛り込んでいただければ大丈夫です。

形だけのキレイな事業計画書よりも、多少型破りでも機能する事業計画書のほうが会社経営にとって有益であることは言うまでもありません。

 

銀行は、一般にただの事業資金の決済口座としてだけ利用する限りにおいては、特段の関係を深めるまでには至りません。多額の預貯金を預け入れれば話は別ですが、おおよそ銀行で最初の担当者が付くのは、融資の窓口になった時です。

 

その大きなきっかけの一つが信用保証協会付の融資です。

信用保証協会付融資は、自分で協会まで足を運び信用保証を取り付けて、その上で融資の窓口となる銀行を決めるという手順を踏むことも、理屈ではできないこともありません。

しかし、その手続は面倒です。

それに、どのような条件であればいくら借りられるのか、総額としてどの程度の融資枠を設定してくれるか、などの情報はなかなか掴みにくいもの。

さらに、お金を借り入れることは経営者にとって「目的」ではなく「手段」です。

融資を受けるために多くの手間と時間を浪費して自ら作業を行うというのはロスが大きく、とても推奨できません。

 

その点で活躍してくれるのは銀行です。

とりわけスタートアップの段階にある中小企業にとって、地銀や信金と言った少額の融資でも快く応じてくれる銀行の存在は極めて大きな助力になります。

そのため、前回の記事でお話ししたような制度を利用するなどして信用保証協会付融資を受けられることになれば、最初の窓口は地銀や信金などを利用することを強くおすすめします。

メガバンクで融資の窓口を受けてもらったらカッコいいと思うかもしれませんが、やはりメガバンクは、その扱う顧客の規模を選別して扱いを変えるのが正直なところです。

具体的には銀行により、あるいは支店によっても変わりますが、郊外の駅前支店であればある程度の時間を割いてもらえる可能性はあるものの、それでも基本はメガバンクであるという事実に変わりはありません。

スタートアップ企業の、数百万円程度の融資でも担当者が付き、その事業計画を理解し、近いところでサポートを期待できるのは、やはり地銀や信金と言った金融機関です。

ぜひ、最初の融資の段階では、これら金融機関を活用するようにしましょう。

 

なお地銀クラスでしっかりと担当者が付けば、自社には総額でどれほどの信用保証枠が設定されており、どの時期になればいくらくらいの融資枠を行使できる可能性があるのか、といった情報もすべて教えてくれるようになります。

そして、事業の成長に応じてタイムリーな提案をしてくれるようになるので、その意味でもとても使い勝手が良いといえます。

このかゆいところに手が届く対応は、メガバンクには残念ながら、中小零細である時には相手にされるものではないので、ぜひ覚えておいてください。

 

地銀との付き合いかたに話を戻します。

もちろん、自社をより大きく育てたいと願っている経営者は、そのうち地銀や信金では対応できないレベルの規模にまで持っていくことを夢見ていることでしょう。それらも含め、事業計画をたて計画的に進めて行くことを強く推奨します。

 

具体的には、信用保証協会付融資はまずは地銀や信金で取り組むこと。そして、日本政策金融公庫からの融資は都銀で扱ってもらえばよいでしょう。

1,000万円程度の金額であり、なおかつまだまだ成長の期待値も大きく見えない段階では、都銀では付いてくれる担当者も経験の浅い行員であるかもしれませんが、それでも立派な担当者です。

むしろ経験の浅い担当者のほうが、その担当先は事細かに上席に報告を上げることも考えれば、まずは日本政策金融公庫からの融資の窓口になってもらい、定期的に決算書を届けて雑談を交わす仲であっても十分でしょう。

担当者が付けば、そう多くの時間は割いてくれなくとも取引履歴が残り、将来の時点で必要になった時に必ずその積み上げが役に立つ時が来ます。ぜひ、うまく使い分けてください。

 

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【ストーリー】起業者必読!! 500万円の創業融資失敗談と金融機関との付き合い方
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第1話 【ストーリー】起業者必読!! 500万円の創業融資失敗談と金融機関との付き合い方
第2話 思わぬトラップ、法人口座が作れない!
第3話 続く独立の厳しさ。一難去ってまた一難
第4話 リベンジを強く心に誓う
第5話 なぜお金を借りられなかったのか
第6話 日本政策金融公庫からの創業融資を獲得
第7話 計画的に銀行と仲良くなろう
第8話 与信を上手に積み上げる方法
第9話 【さいごに】結局のところ、大事なのは事業計画とそれを実現する強い意志