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パナソニック、次の100年へ! 経営計画に込められた変革と挑戦とは?

 

異能/異才が出戻り? もがく新生パナソニック

 

昨年、「経営の神様」松下幸之助による創業から100年を迎えたパナソニック。

 

日本が世界に誇る名門企業ですが、そんなパナソニックも変化の早い世界の中でもがき続けており、津賀一宏社長のもと「保守的」ともいえるイメージのある社内を大きく変革させようとしています。

 

4月からはジーパンやスニーカーといったカジュアルな装いでの勤務を解禁し、まず従来のスタイルを表層から変えています。

 

また、日本ヒューレット・パッカードやダイエー、日本マイクロソフトなどで社長を歴任した樋口泰行氏をはじめ、かつてパナソニックを飛び出していった異能/異才の人材を呼び戻すなど、人事面でも新たな取り組みを加速させています。

 

松下幸之助の「水道哲学」から始まった名門は、いまなぜ変わろうとしているのでしょうか。パナソニックを取り巻く環境、そして事業の現状を通じて、その理由を探っていきたいと思います。

 

 

好調を維持する祖業、家電カンパニー

 

パナソニックの2016年度の売上は7兆3,437億円。4つのカンパニーがこれらのほとんどを稼ぎ出す構造となっています。

 

出典:パナソニック株式会社「アニュアルレポート2017」p.45 カンパニー概要

 

その中でも最大の売上高と営業利益を誇るのが、パナソニックの祖業である「アプライアンス社」です。

 

 

アプライアンス社ではまさに「パナソニック」らしい商品群であるエアコン、冷蔵庫、洗濯機といった白物家電やテレビ、デジタルカメラといった黒物家電、そして存在感を増している美・理容器具といった家電の製造・販売を行っています。

 

カンパニー売上高は約2兆3,245億円、営業利益も1,043億円と、祖業であるだけでなく財務面でも非常に存在感のあるカンパニーです。

 

出典:パナソニック株式会社「アニュアルレポート2017」p.87 財務報告

 

パナソニックの家電は日本における家電シェアにおいて過去最高を記録しており、好調を維持しているようですね。

まさにパナソニックの屋台骨とも言える事業です。

 

出典:パナソニック株式会社「アニュアルレポート2017」p.45 カンパニー概要

 

 

外部環境の厳しさが増すエコソリューションズ

 

住宅のリフォームや太陽光発電システムを主力とするのが、「エコソリューションズ社」です。

 

出典:パナソニック株式会社「アニュアルレポート2017」p.47

 

売上高は1兆5,457億円、営業利益は625億円となっており、売上、利益ともに減少傾向にあります。

 

出典:パナソニック株式会社「アニュアルレポート2017」p.88

 

この減収の大きな要因としては、太陽光発電システム市場の縮小でしょう。

 

国内における電力の買い取り価格が大幅に低下し、個人向けのマーケットが急速に減退してしまったのです。

 

一方、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて首都圏では大型の開発が続いており、リフォーム事業は好調のようです。

 

しかし東京オリンピック後に景気は停滞期にはいるという予想があるため、海外展開のスピードアップが大きな課題といえそうです。

 

 

高い競争力が要、ソリューション事業

 

「コネクティッドソリューションズ社」では、「航空」「製造」「エンターテインメント」「物流」といった業界の経営課題解決のためのソリューションを提供しています。

 

出典:パナソニック株式会社「アニュアルレポート2017」p.47

 

かなり細分化された多様なソリューションデバイスを提供しており、売上高は1兆407億円と4大カンパニー内で最小ながら、多くのシェア1位のコアデバイスを保有しています。

 

出典:パナソニック株式会社「アニュアルレポート2017」p.88

 

2016年3月期には営業利益率が6%に迫るなど、高いシェアを背景とした高付加価値戦略により高い競争力がありました。

 

しかし2017年3月期は災害や、一部市場における前年の特需の反動から大きく利益額を減らしてしまっています。

 

 

パラダイムシフトをチャンスに! 次なる柱、車載事業

 

パナソニックが最も注力していると言っても過言ではない、「車載」と呼ばれる領域をビジネスを展開しているのが「オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社」です。

 

出典:パナソニック株式会社「アニュアルレポート2017」p.47

 

2016年から経営資源の多くをこの分野へ投資してきた甲斐もあり、売上高が2兆5,612億円と大きな伸びを記録しています。

 

出典:パナソニック株式会社「アニュアルレポート2017」p.89

 

営業利益も1,093億円と大きく飛躍しており、今後のパナソニックの顔とも呼べるカンパニーとなっています。

 

車載カメラやセンサー、リチウムイオン電池といった「クルマの電子化・電動化」という大きな需要の波に乗っています。

 

市場規模は70兆円規模にも迫ると言われる自動車産業ですが、いまは「CASE」※と呼ばれるパラダイムシフトの真っ只中。

 

その大きな変化をつかむことで、新しい経営の柱を打ち立てつつあるようです。

 

※CASEとは: 「コネクティビティ(接続性)」、「オートノマス(自動運転)」、「シェアード(共有)」、「エレクトリック(電動化)」の頭文字を取ったもの。

 

 

伝統と革新で創り出す、これからの100年戦略

 

これまで見てきたように、今やパナソニックは家電のみならず住宅、ソリューション、車載などかなり幅広い事業を展開しています。

 

ではパナソニックは限られた経営資源をどのように振り分けていくのでしょうか。

 

経営計画では、各種事業を「高成長」「安定成長」「収益改善」の3つに切り分けています。

 

出典:パナソニック株式会社「アニュアルレポート2017」p.28

 

この中で最も目を引くのは、やはり車載電池事業でしょう。

 

先ほどみてきた通り、車載事業は大きく伸びており、その中でも中核的な役割を果たしているのがこの車載電池事業です。

 

この事業の展開で特に耳目を集めたのが、米国テスラ社「ギガファクトリー」内でのリチウムイオン電池の生産ですね。

 

イマをときめく起業家、イーロン・マスクと組み、リスクを負ってでも成長分野での挑戦をする。いわば「保守的」な印象のあったパナソニックのこの決断は大きな驚きをもって迎えられました。

 

一方、そうした生き馬の目を抜くような変化の早い業界への挑戦には、これまでパナソニックが100年培ってきたノウハウでは不十分な点が多くあるでしょう。

 

そうした危機感が、冒頭に上げたような自己変革への取り組みに繋がっているといえます。

 

伝統を守るためには、挑戦や自己変革が必要です!

 

101年目を迎え加速するパナソニックの新たなる挑戦は、次の100年を打ち立てることができるのでしょうか。注目していきたいですね。

 

 

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