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【ストーリー】売却価格を○倍に!! 事業売却(M&A)担当役員の孤軍奮闘記

 

会社経営は、本当に一筋縄ではいかないもの。
経営者の思惑や計画通りに進捗する事業もあれば、不幸なことに完全に思惑が外れ、撤退を余儀なくされる場合も多いでしょう。
そして多くの場合、事業の縮小や撤退を決めた時は特損(特別損失)などで落とし、高い授業料を払って手仕舞いで終わらせているのではないでしょうか。

その一方で、2000年代に入ってからはスモールM&Aと呼ばれる、1億円以下のディール(取り引き)を扱うような動きが活発化してきています。
これは、団塊の世代と呼ばれる時代の経営者たちが60代後半から 70代になって、いよいよ本格的に引退を考え始めた時期と一致しており、後継者を育てられなかった経営者による事業の売却が活発に行われていることを示しています。

事実、2017年度1年間のM&Aの件数は、M&A仲介大手レコフの統計によると3,000件を超え、過去最高を記録しました。
このことは、メディアで報じられるような大企業同士の大型ディールだけでなく、街の中小企業同士による事業の買収や売却も盛んに行われ、M&Aに取り組む敷居がどんどん下がってきていることを意味しています。

とはいえ、M&Aは言うまでもなく簡単なことではありません。
まして、売り手側の立場であれば、事業の撤退等でわずかでも投資を回収して手仕舞いにしたいという弱い立場から、交渉がスタートすることになります。
さらに、一般にM&A仲介事業者は、売り手ではなく買い手有利な交渉をプロデュースする傾向が強いのです。(理由は第3話 「売り手側は「足元を見られている」!!」に記載)
その上、多くの経営者にとって「事業売却」は初めての経験であり、交渉の段取りも不慣れです。少しでも高く売るような環境づくりなどまず思いも至らないうちに、ディールは終了してしまいます。
結果として、満足度の低い取り引きとなってしまうことも少なくないことでしょう。

ではどうすれば、事業の売り手は満足度の高いM&Aに取り組むことができるのでしょうか。

事業の売却は、会社が成長を図っていく中で時に事業から撤退し、時に事業の集約を図っていく場面において、必ず選択肢として持っておきたい、極めて優れた手段です。
また、最後の最後の手段ではありますが、緊急避難的な資金調達としても機能することをぜひ覚えておいてください。
アメリカ国内での原発事業で大きな損失を計上した東芝が、虎の子である半導体部門の売却を検討し、数兆円にものぼる資金調達を画策しているニュースはおそらく一度は聞いたことがある人も多いでしょう。
このように、会社にいくつかの事業部門がある際には、それらの中から比較的売却が容易で事業価値の高いものを選び出し、最終手段として資金調達の一つの選択肢にすることも可能なのです。

その上で大事なことは、M&Aは買い手だけでなく、売り手にとっても満足感と納得感のあるディールに落とす必要があるということです。
そして、そのためにはいくつかのポイントを抑えておく必要があります。

この記事では、M&Aに携わってきた私の体験を通じて、売り手にとって満足度の高いM&Aとは何か? その考えかたを、以下のような3つの切り口からお話ししていければと思います。
・事業売却に臨む心構え
・買い手と対等の立ち位置を確保する事業売却の考え方とは
・ディールを成功させるために売り手が努力する必要があること

事業計画や経営計画は会社経営にとって必要不可欠ですが、計画通りに進むことなどほとんど考えられないのが現実です。
そして大事なことは、予定通りに進まなかった際にどれだけ有効なオプション(選択肢)を経営者が持ち合わせているか、どのようにセカンドベストな未来を選び続けるかです。
そのためには、選択肢のひとつとしてのM&Aについて、どんな会社であっても無知で良いわけではありません。

そういった意味で、この記事が一人でも多くの経営者の参考になり、選択に迷った際に読者のみなさまに語りかけることができれば幸いです。

 

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【ストーリー】売却価格を○倍に!! 事業売却(M&A)担当役員の孤軍奮闘記
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第1話 【ストーリー】売却価格を○倍に!! 事業売却(M&A)担当役員の孤軍奮闘記
第2話 当事者としてM&Aを経験してきた私
第3話 売り手側は「足元を見られている」!!
第4話 「専任仲介条項」の落とし穴
第5話 やはり交渉決裂、次の一手は……
第6話 テーブルに乗せるのは「利益水準」だけではない!
第7話 レア感を材料に交渉のカードを切りまくる
第8話 最高の事業売却(M&A)を実現するために疑った2つのこと
第9話 【さいごに】事業売却(M&A)における成功!とは